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スキルアップ税務

社長貸付金・社長借入金消去の税務 ~証拠の論点も踏まえて~㊳

2024/11/26

1)

(現行:質疑応答事例)

 老人ホームへの入所により空家となっていた建物の敷地についての小規模宅地等の特例(平成26年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する場合の取扱い)

【照会要旨】

 被相続人は、介護保険法に規定する要介護認定を受け、居住していた建物を離れて特別養護老人ホーム(老人福祉法第20条の5)に入所しましたが、一度も退所することなく亡くなりました。被相続人が特別養護老人ホームへの入所前まで居住していた建物は、相続の開始の直前まで空家となっていましたが、この建物の敷地は、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当しますか。

【回答要旨】

 照会のケースにおける、被相続人が所有していた建物の敷地は、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当することになります。

(理由)

 平成25年度の税制改正において、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった宅地等の場合であっても、1被相続人が、相続の開始の直前において介護保険法等に規定する要介護認定等を受けていたこと及び2その被相続人が老人福祉法等に規定する特別養護老人ホーム等(以下「老人ホーム等」といいます。)に入居又は入所(以下「入居等」といいます。)していたことという要件を満たすときには、その被相続人により老人ホーム等に入居等をする直前まで居住の用に供されていた宅地等(その被相続人の特別養護老人ホーム等に入居等後に、事業の用又は新たに被相続人等(被相続人又はその被相続人と生計を一にしていた親族をいいます。以下同じです。)以外の者の居住の用に供されている場合を除きます。)については、被相続人等の居住の用に供されていた宅地等に当たることとされました。

 なお、この改正後の規定は、平成26年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する場合について適用されます。

 (注)被相続人が介護保険法等に規定する要介護認定等を受けていたかどうかは、その被相続人が、その被相続人の相続の開始の直前において要介護認定等を受けていたかにより判定します。

 したがって、老人ホーム等に入居等をする時点において要介護認定等を受けていない場合であっても、その被相続人が相続の開始の直前において要介護認定等を受けていれば、老人ホーム等に入居等をする直前まで被相続人の居住の用に供されていた建物の敷地は、相続の開始の直前においてその被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当することになります。

【関係法令通達】

租税特別措置法第69条の4第1項
租税特別措置法施行令第40条の2第2項、第3項
租税特別措置法通達69の4-7の3

 現行税制は要件が明確化され、そもそも当該要件を満たさなければ適用を受けられないことから原則として証拠保全の考え方はありません。従前の質疑応答事例ベースでの係争事案は下記が代表的です。

重要情報

〇東京地方裁判所平成22年(行ウ)第695号相続税更正処分取消等請求事件 平成23年8月26日判決【小規模宅地/居住用宅地/有料老人ホームに入居した被相続人の生活の拠点】Z261-11736

(一部抜粋)

第3 当裁判所の判断
1 争点(本件宅地が、本件相続の開始の直前において、本件特例に規定する被相続人等の「居住の用に供されていた宅地」に当たるか否か)について

(中略)

(2) 本件家屋敷地について

 ア 本件特例は、被相続人等(被相続人又は当該被相続人と生計を一にしていた当該被相続人の親族)の居住の用に供されていた小規模な宅地等については、一般に、それが相続人等の生活基盤の維持のために欠くことのできないものであって、相続人において居住の用を廃してこれを処分することについて相当の制約を受けるのが通常であることから、相続税の課税価格に算入すべき価額を計算する上において、政策的な観点から一定の減額をすることとした規定であると解される。

 そして、ある土地が本件特例に規定する被相続人等の「居住の用に供されていた宅地」に当たるか否かは、被相続人等が、当該土地を敷地とする建物に生活の拠点を置いていたかどうかにより判断すべきであり、具体的には、①その者の日常生活の状況、②その建物への入居の目的、③その建物の構造及び設備の状況、④生活の拠点となるべき他の建物の有無その他の事実を総合考慮して判断すべきものと解するのが相当である。

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